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2009 05,07 11:02 |
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〈唐突に江蓉週間〉3/5
とある小説の影響を変な方へこじらせた習作。こんなでも色々模索中なんです。 あ、例のごとく薄ぺらく不健全ですご注意。 遮光カーテンが遮断するのは光ばかりではない。 ……泣いてないわ 泣きなさい、って言ってるの 江利子は蓉子の髪を撫でる。礫砂の舞う地で、幼子を守るように、柔肌に指を添える。添わせ押し上げる。脂肪の無い蓉子の四肢は健康的過ぎて気味が悪い。正しくあろうとして、そう命じた当の蓉子自身を排出しようと試み始めた身体を、騙すように触れ続ける。皮を通して肉に触り、骨に合わせ方向を変える。曲折する愛撫は誰の意思でもない。啜り泣くような声をあげる蓉子の上で江利子は動いていく。互い以外を拒絶し、自らに無い糸を手繰り取られ操られる。寝室のカーテンは分厚い闇の色をしている。 …あ…ぁっ…… 涙を持たない江利子は蓉子に塩辛い海を見せる。紅の剥げた唇に含ませる指は蓉子の呼吸と意識を奪い緩慢な死と充足を与える。原因も意味も多重な舌の痺れが蓉子の脳を溶かす。薬物患者の壊れた思考に一瞬重なった浮遊を江利子の糸が絡め押さえつけた。 幾度も繰り返される口づけ、むしろ江利子の吐息を落とされる感覚を一番の刺激として脊髄が揺れる。嘘をつけない器官。疲労し床に張りついた重心と跳ね上がり宙に浮く背や顎が連続した肉体として蓉子を踊らせる。潤まない部分から汗が滴る。江利子が蓉子を呼び、蓉子は返答をせずに江利子を赦した。もとより承諾を要さない挿入は、江利子の意思に反して荒々しくなり、蓉子の意思に逆らってきつい締めつけとなる。幸福を求め歓喜を封じ込める。江利子の中指に歯を立てた蓉子がうっすらと目蓋を開けた。 え……り…こ……っ ……もっと泣いて 足りない、と囁く江利子の懇願は蓉子に慈愛を溶かし。かつて放棄した自愛を蓉子自身のために取り戻させようと躍起になって組み敷かれた少女の内奥を巡る。貪欲な搾取が齎した液体の交換は境界を保つ自制を脅かした。煮詰めた夜を隠す布が、窓が開いたかのようにはためきそれでも内部の呻き声と嗚咽は吸い込んで閉ざす。江利子の髪を噛んだ蓉子の細い腕はピアノ線よろしく江利子を巻き込んで張り詰めた。 絡まり合いふたりで落ちた時には、もう辺りは白み始めていた。消えた夜はふたりの裡でのみ更ける。 PR |
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