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2009 05,08 12:39 |
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〈唐突に江蓉週間〉4/5
始めてから一週間過ぎちゃったよ……orz 今手をつけてるSSが終わるまでは聖蓉も何も書かないと決めたのでこれは予定通りあと一回で終わります。元凶は白い子。 どうして私はこの少女に甘えてしまうのだろう? 同い年の、性格が良いとはとても言えない、面白いものが好きなだけの鳥居江利子という親友に。 「…江利子なんか、嫌い」 「そう、嬉しいわ」 ……変態。 呟く私に彼女はそれはもう良い笑顔を見せる。くっくと笑う声も隠さない、性悪と言って差し支えない。 だけれど私をこうして抱きしめてくれるのは、馬鹿ねって揶揄しながら昏い部分まで水野蓉子として認めてくれるのは、江利子だけなのだ。 「あなたはすぐに人を受け入れるけど」 鼻歌でも歌うように。春風を作りながらそっと私の身体を揺らす。私を慰めるなんて意図はきっと無い。本当の理由はわからないけれど。 「誰かを嫌うことは、めったにないでしょう?」 嫌いな人、はいくら考えてもひとりしか出てこなかった。なるほど江利子は実に正しい。ふらふらと遊び回りながら、好奇心に身を任せながら。個を持ちしっかと立つ彼女は眩しい。 ……私が本当に嫌いなのは、彼女ではない。 「泣いていいわよ」 「……いやよ」 嫌いな人のためになんか、泣きたくない。涙は絶対に、流したくない。 江利子が私を抱き寄せる。細くなった気がする気道が音を立て、食道が本来とは逆の方向へ何かを押し出そうとする。 酷くお腹を空かせた時のような気持ち悪さ。首を絞められる息苦しさ。 「強情なんだから」 「悪かったわね」 強がる私を江利子は笑う。その響きが身体に染み入ると私は何故か安心する。ちくちくと刺さる真実は、江利子が告げれば私を救う。けして癒やしにはならないけれど確実に私を生かす。掬われる。 面白いものに目がないだけのくせに。どうせ優等生が崩れる姿が物珍しいだけなんでしょう? 親友なんてあなたにとっては大して価値のあるものじゃないって、知ってるんだから。 苦し紛れに罵倒する私は江利子の胸に顔を押しつける。唯一愛する人が、私の一番嫌う人に心音を聞かれている。腹が立ってたまらないのに、心地よさに身を委ねてしまう。 春の終わりを私は江利子の髪の匂いで知った。 PR |
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