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2009 06,15 11:00 |
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本当はもっとがっつり聖栞にするつもりだったんです、が。(結局は聖蓉脳。)
いつか煮詰めすぎて苦いくらい甘い聖栞(とその裏の真っ暗江蓉令祥乗せ)を書きたいものです。 「――好きよ、雨」 あなたと一緒にいられるから、と微笑ったのは、きっとあの子の方。 栞がより近く感じられるから、が、私の側の台詞だった。セピアがかるなんてとんでもない、まだしっかりと、温室の匂いに湿気に吐息とも呼べそうな呼吸音すら感じられる、圧縮をし損ねた思い出だ。時折圧迫される、他のメモリーに比べ曇っているのは、舞台を包むのが土砂降りのにわか雨だったからに過ぎない。無理矢理に距離を狭めなくともくっついていられたしあわせな日。私より少し現実を見ていた栞の笑みに、ほろ苦さが混じっているのは、きっと今の私のフィルターのせいだ。不変を願うこと、それすらがしあわせの欠片になっていた遠い、苦い。 あれだけ止まないでほしいと願った雨は、あんなにあっさりと尽きてしまった。栞は去った。彼女と編んだ髪を私はそっと埋めた。わざわざ雨の降った翌日を選んで、泥だらけになりながら。思い出をたくさん染み込ませた細胞をたくさん土に還した。 いつか溶けてなくなる。雨に混ざる。そしてきっと栞に届く。呼吸も言葉も、遠い地でそっと寄り添ってくれればいい。今はまだ強がりが勝るけれど、そのうち心からそう思えるようになって、そしてわざわざ思うことすらなくせたら。青い展望は雲の消えた空にふさわしく、支えというよりはつっかい棒とでも呼びたくなる人物は隣でただ穏やかに微笑っている。 あの糖蜜の雨がまだ溶けきらないまま、この晴天の下でしあわせだと言い切ることは私にはとてもできないのに。 溶けるまで待つわよ、と、ぽかぽかと飽きることなく、笑っている。 PR |
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