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いわゆるオタクの趣味語り日記。百合とラノベが主食ですが無節操。書痴。偏愛に妄想、ネタバレや特殊嗜好まで垂れ流してますご注意。 一応本家は二次創作サイトらしい。
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2007
12,10
19:38
13.
CATEGORY[妄想走り書き(過去ログ)]
(パラレル/由乃)
走っていた。どこまでもどこまでも走っていかなければならない気がした。息はもうすっかりあがっていて、足はもつれては前へと押し出されていく。本能? そんなもの信じてはいなかった。生まれながらにして持つ性格だとか、特徴だとか、分析はもううんざりだった。首を振った途端、ひゅっ、と目の前が白くなり、今度こそもつれきった足は私を道の真ん中に押し倒す。咄嗟についた手。まず耳を塞ぎなさい、とぱっとしない国語教師が朝礼で示していた訓戒なんか守る暇はなかった。細かな石で擦られた手の平の熱さが、ひきつれた心臓と一緒に私を燃やしていた。
ごうごうと吼えるかのような爆音は意外に呆気なく去っていった。真っ昼間の田舎道は、それからまたいつもの音を取り戻す。耳鳴りよりもそれらが大きくやかましくなる頃漸く私は起き上がった。擦りむいた膝小僧の様子を見て、ほんのちょっと滲んだ赤に眉をしかめて、無意味なくらいゆっくりと立ち上がる。
「ついてないなぁ」
見逃してもらえたのはとてつもなく幸運だったのだと知っていながら、呟く。平和のための戦いだ、と熱弁していた禿頭の軍人は、宣戦と同時に隣国侵入への指揮を取った。熱狂に流され私も歓声を送った先の第二師団は、今頃どこで抗っているのだろうか。最初ばっかり威勢がいいんだから。かの敵国の王女の一笑に、煽られもせず納得してしまった時点で勝負はとうに決まっているのだ。
令ちゃんのところへ行くはずの体は、もうちっとも動いてはくれなかった。夕方にはまだ早い太陽の高さが、木陰を小さくまとめてしまう。伝う汗が、生ぬるかったことに安堵した。同じような温度の麦茶を流し込む。どうせあの飛行機のせいで今日の鉄道は動きやしない。投げやりに思い息を吐く。
迎えに行くのに、と笑う令ちゃんの声は殆ど変わらなかったけれど、でも確かに変わってしまっていた。私たちの外側にある何かを、見つけてしまった色。深くなった、のかもしれないけれど、私は嫌だった。私の知らない部分が彼女にあるというのが、たまらなく嫌だった。
だから頑張ったのに。ぼんやりと道の先を見つめる。真っ直ぐな、隠れるところもそう多くはない砂利の道。絶対通っちゃ駄目だよ、なんていうから。近道したくなるんじゃない。八つ当たりしようとした彼女は3ヶ月前の軍服姿だ。全然似合ってなかった。分かってたけど、笑ってしまった。
最後に見たのと同じ格好の令ちゃんは、遥か遠くから段々大きくなる。まるで走り続けなければならないかのような様子がおかしくて、私はやっぱり笑ってしまう。
じんじんとする四肢はまばらな葉桜の模様に染め抜かれている。束の間の平和を、その錯覚を、私はやっと有り難いと思う。
じんわりと、傷口が痛み出してきたけれど、私は小さく笑って手を振った。
優しい令ちゃんの、久しぶりの笑顔を、独占するために。
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