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いわゆるオタクの趣味語り日記。百合とラノベが主食ですが無節操。書痴。偏愛に妄想、ネタバレや特殊嗜好まで垂れ流してますご注意。 一応本家は二次創作サイトらしい。
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2008
10,12
03:11
17時のBGM(蓉子)
CATEGORY[妄想走り書き(過去ログ)]
前編。
後編まだ一文字も書いてませんが(苦笑)。
とくん、とくん、とくん
ああ、顔が熱い。
大丈夫、って言ったのに。いつものにやけ顔で、下心丸見えの声音で言ってくれれば、突っぱねることが出来るのに。雨に濡れた身体に少し遅れてきた生理、立て続けに出されたレポート、そんなつまらない出来事で。言い訳なんかしたくない。
会いたかった。大学から早足だった、降りたら改札に一番近くなるドアから乗って、各駅に停まる電車のゆっくりさにため息をついた。彼女の最寄り駅に着けばスコールのような大雨。折り畳み傘など何の役にも立ちやしない。聖を呼ぶなんてもっての他、鞄を小脇に抱えて走る。教科書が濡れてしまうかな、とちらと思い、どうでもいいか、と結論を出す。テキストと聖なら勿論聖を選ぶ。課題中ですらちょっかいをかけてくる本人には言ってあげないけど。
ざあ、ざあ、ざあ。雷も近くで響く、空模様。髪も服もすっかり肌に張りついて、絞ればきっといくらか軽くなる。自動ドアをもどかしく待ち、駆け込んで、ひとつ息をついた。いわゆる合鍵を引っ張り出す。鞄の中は案の定ぐしゃぐしゃだったけれど、それには一端目を瞑って。
カチャ、と鍵の落ちる音。生々しく耳に落ちる、音。会う前から苦しいのは一週間を優に超す空白のせい。会いたい会いたいと騒ぐ彼女を常識で宥めた試験期間、聖のストレートな愛情のおかげで私も乗り切れた。でもそのわがままは私の役目じゃない、会いたいなんてふたりともが言ったら現実になってしまう。回線が切れる前に好きよと囁くのが関の山、それだって相当恥ずかしかったけれど私ばかりがもらっていてはいけない。電話ありがとう、はかけられた方が必ず言うという約束。終わりを暗示する言葉だからできれば口にしたくない、一瞬の沈黙の後うん、と返される切なげな声は一番残る。引き摺る。
部屋は開けずにチャイムを鳴らす。何か見られたくないことをしてるかもしれないし。最低限のプライバシーの尊重は恋人同士だって必要だ、私はそうやってストッパーをかける。世話焼きもお節介も心配も、聖の全てにまで介入してはいけない。彼女だってすさまじい独占欲を随分と抑制してるのを知ってるから。幸せしかない交際なんて有り得ない。人生と同じよ、と続けたら詩人だねえ、と爆笑された。その晩は随分恥ずかしい言葉を言わされた気がする。思わず赤くなって、冷えきった身体に熱がともる。頑張って仏頂面にしようとした途端、開くドア。
「っ……蓉子!!」
力強い腕の中に捕らわれ、瞬く間に体温が沸騰する。ついさっきとは比べ物にならない爆発。聖が風邪をひいてしまう、応えようと空の手をあげかけたところで気がついた。濡れ鼠のままでありながら、久しぶりの暖かさから抜け出したくないけれど、これは私の役割。聖、と漏らすまでを自分に許して。
「離して」
人前よ。
小さな嘘。目を合わせる前にシャワーを貸して、と頼む。聖は自分に無頓着だから。聖を冷やしたくないの、なんて言ったって聞いてくれない。どこまで気づいたのか微かに笑った聖は私を招き入れる。気障っぽく出された手の誘惑に負けそうになりながら、これ以上触れるのは着替えてから、と決める。揺れる心を押さえつける理性の正当性を作ってしまえば、後は簡単。
繋げない手の代わりに焦げ茶の鞄を託す。慌てたように受け取る聖、今の私の表情は随分緩んだものになっているはず。被せられたバスタオルが聴覚や嗅覚を敏感にする。雨音より近い聖の吐息。都会の雨の匂いより鮮烈な聖の家の石鹸の香り、そして仄かに。
至近距離にならなければ分からないそれの、懐かしさに泣きそうになってしまう。こんなに弱いのは私じゃない、平常心よ早く、早く戻ってきて。レモンイエローの視界にちらちらとうつる髪の柔らかさ。まださわれない。
顔にばかり血が昇って、ふらつく身体は浴室に押し込められる。心臓は目まぐるしく血液を送り出しているというのに、肝心なところには届いてくれない。動く度に湿った音が立つのは、水を吸った衣服のせいだけれど。聖の囁きと共に、思い出してしまった何かは私を内から苦しめた。頭の芯が痺れて行く。いつもの温度が熱く感じるくらいの肉体もぴりぴりしてはいるけれど、そんなものじゃ全然足りない。くら、と歪んだタイルがぐんぐんと近づいてくる。
「蓉子!?」
聖の怒鳴り声がやけに色々なところに反響して、心地よさと同時に全身の力が抜けて。私はやわらかな首筋にとすりと顔を埋めた。触れないって決めたのに。自戒をあっけなく台無しにする聖の腕。
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