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2009 08,25 10:02 |
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〈見つめる〉4/5
いつまでもローカルネタさらしておくのもあれなので今日は早めに更新。 ベタもとい王道って想像以上に難しい。 真夏の太陽の日差しはただ痛かった。柔らかいの対義語は色々あるものだな、と、故事とは正反対の身の置き方をしながら思う。最も冬の暖まり方のすすめに反したところで体調を崩すわけでもない。ほぼ全身が熱い。熱を吸収する黒髪が、一番火照りぼーっとする。ぎりぎり足首までしかない海面も生ぬるい気がしてくる。 「あっついねぇ」 「本当」 だったらパラソルの下に戻れば良いものを、ふたり並んでそれなりに夏を満喫する体裁を取って。 「追いかけっこでもする?」 「やめてちょうだい」 海のばかやろーくらい寒いわよ。 しゃがみこんでひたひたと揺れる水面に手を浸す。べたつく磯の香り。澄んでいる、とは言い切れない、砂と混ざりあった海水の塩分は、どれくらいだっただろうか。あまり人も居ない海は雄大と言うより囲われた切なさを感じさせる。歩いてきたコンクリートのごつごつとした感触を、消し去ろうと砂をすくい水で洗い。 「でも青春じゃない?」 「やるならひとりでどうぞ」 「行事好きなくせにぃ」 「炎天下で走り回れるほど元気じゃないもの」 贅沢に2泊3日の予定を組んだ旅行の中日。予約したホテルもそれなりにいいところ、なんだかんだでムードに弱い聖のことだから初日から、を予想していなかったわけでは流石にない。問題は質と量だ。朝から遊ぶ! とかはしゃいでた聖本人のせいで結局海岸に着くのは昼前になった。 「若くない、の間違いじゃないの?」 「じゃあ若いあなただけで楽しめば良いわ」 ぱしゃぱしゃと無邪気なこどもみたいに。深いところまで行く気も泳ぐ気もないけれど、どうして私はこんなことをしてるのだろう。 陰る気配も見せない陽に頭がやられたか。何の気なしに聖の方を向く。私と軽口の応酬をしている彼女は立ったまま遠くを眺めていた。日差し避けに手を当てて、シンプルな水着から白い身体を惜しげもなくさらして。 私を見ないまま。 海で物思いに耽る、なんて。その陳腐さが様になる聖から私は視線をそらした。自然落ちた先が照り輝く水面で、私はそうっと覗き込む。理由も意味もない。明日は隠せないもんね、とかほざかれさんざ指先を使われた身体が重く、熱気で思考力も搾られる。嗚呼、らしくない。聖の隣にいる自分。 「……青いわね」 「そだね」 意味のない会話を、距離を行動を。 天頂を越えた太陽はまだ勢いを失わず、引き潮の近い波は穏やかに私を笑い。 こんな浅瀬の底すら見ることのできない私は聖に少しも踏み込めないまま。 PR |
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