日記
いわゆるオタクの趣味語り日記。百合とラノベが主食ですが無節操。書痴。偏愛に妄想、ネタバレや特殊嗜好まで垂れ流してますご注意。 一応本家は二次創作サイトらしい。
カテゴリー
新しい記事(未整理) ( 1 )
戯言・拍手お返事・その他 ( 928 )
妄想走り書き(過去ログ) ( 332 )
読書メモ ( 347 )
購書メモ ( 3 )
ゲーム・アニメ系メモ ( 7 )
管理人:レンヤ
・
筆ペン
(本家)
・
読書メーター
・
twitter
2025
02,12
10:24
[PR]
CATEGORY[]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
2009
09,15
00:07
なにはともあれ
CATEGORY[妄想走り書き(過去ログ)]
(非公式の)誕生日おめでとう、蓉子。
今年も特別なことは何もできませんが、バカップル一組置いていきます。去年は桜が咲いてたんだから夏の話だって別にいいじゃない。
「何が食べたい?」
我ながらわざとらしく首を傾げてみせると蓉子は詰まった。恥ずかしがりの拳でも誤魔化しの呆れた視線でもないその反応は私の想定の範疇を越えていて、折れかけたような首の上に乗った頭で、あれなにか変なこと言ったかなと考える。もうすぐお昼で、暑くなってきた気候のせいで外出する気は互いにとうに失せていて、蓉子のいう不健康な時間の過ごし方(私としては大変有意義な愛の確認行為)も有意義な時間の割き方(ふたりっきりなのに課題に手をつけるなんてそりゃないよ蓉子さん)も双方の同意が得られずにご破算になった。するとつまりは一緒に手作りランチでも、という流れになるのはむしろ当然過ぎるはずであって、今更そんな初々しい姿見せられたらこっちが困るというか。うん多分私は間違ってないし変な意味は無自覚のうちにもこめてはない、はずだ。おっけー。
顔を上げ直すと、蓉子はいつの間にか気まずげな表情を浮かべていた。自己分析の様子が顔に出ていた? 最近蓉子には筒抜けといっていいくらいあれもこれもがすぐにバレる。私が無防備になったのか蓉子の鋭さに磨きがかかったのか。どちらにしても愛の為せる業、と多少強引に良い話にしてしまう私は江利子曰く「色惚けに拍車がかかりすぎ」ている。ほっとけ。幸せで何が悪い。
「えーと、よう」
「ごめんなさい」
「へっ?」
なんか最上級に間抜けな声が出た。鏡で見たらさぞ情けない顔してるんだろうな、とも片隅でちらりと認識する。なんださっきから私ったら自分の顔ばっか気にして。変なナルシストみたいじゃないか。
だけど蓉子の顔はさっきから熟れっぱなし。つられてあがりかける私の体温、いったいどうやったら鎮められる? 無関係なことを考えてやり過ごせと指令を仰せつかるのは普通でしょーが。
「あなたの手作りならなんでも嬉しい、なんて、」
ただの逃げよね。
心無し早口で告げる蓉子は、次第に独語の雰囲気を帯びることばを忙しなく吐き出す。機械みたいにがちがちに固まっている、縮こまった肩が、キャミソールの細い紐を今にも落としてしまいそうで。冷房の通り口にいては寒いだろう肌のまるみが私には眼福で毒でああもうどうしてくれようか。
ごにょごにょと蓉子のまわりで大量生産されてる言い訳ははっきりとした日本語になっていない。もちろん英語でもフランス語でもスペイン語でもない。多分蓉子自身に言い聞かせるための呪文が、ぷちりと切れてそれでも蓉子の赤みは引かない。次にくる蓉子の発言を待ち受ける私は餌をもらおうと口をあけてる雛鳥みたいだ。おいしいものが来るってわかりきった安心感で、もう胸はみたされてるのにまだちっとも足りてない心持ち。
「嘘じゃ」
ないのよ、と最後まで言わせるほど私は甲斐性無しじゃない。測るまでもない間合いを最短ルートで一気に詰めて、無粋な邪魔者をTシャツとキャミソールだけにしようとする。不健康なくらい効かせた冷風を蓉子の肌から追いやって、擦りつける私の肌からは情けなくもぶわりと汗が。ああ顔も熱い。恥じらってる蓉子を間近で見ようと思ってたけど駄目。とても無理。完敗です。
「ようこぉ」
「は……え、えっ?」
肩に回した腕がずるりと滑った。いただきますでもごちそうさまでも、私の心境にこの上なく合致してはいるけれど本意は伝わらないに違いない。照れを超えて怒られそうだから口には出さない。いっぱいになった心の中だけで手を合わせる。現実の手の平には蓉子のぬくもり。真夏の酷暑に閉口してた口は違う意味でチャックして、でも顔をあげればすぐ前にあるだろう蓉子の唇には近づけるどころか直視する勇気もなくて、抱きついてるのか体重をかけてるのかいまいち微妙な体勢のまま私は冷蔵庫の中身を必死で連続再生する。無関係なことを考えなくちゃ身がもたない。いや今からふたり分のランチを作るのは多分私で、蓉子のリクエストは甘ったるいけどあってないようなもので、その態度に表情に私の心はすでに満腹で、つまりは冷蔵庫のラインナップはおおいに関係しているわけで……ああもうわけがわからなくなってきた。このあつさのせいだ。昇った血が全然引いてくれない。蓉子も咎めないし離そうとしてくれない。しなくていいけど。嬉しいけど。このままじゃどうにかなってしまいそうだからメニューは冷たいパスタにしようか、な。
トマトトマトピーマン、とぶつぶつ呟く私のことばは中々私を冷ましてくれなかった。なんだかカッコ悪い。すごくカッコ悪い。恥ずかしさと勿体無さとぬくもりとあつさと冷蔵庫や棚の食材たちがぐるぐる回ってサンボのバターみたいになってきたところで、呆れた風にくすくす笑いだした蓉子によって私はこの状況からようやく抜け出した。より密着する方に、なんてサプライズのおかげですっかりのぼせてしまって、沸騰した脳では幸せ以外何もわからなくなった、が正しいかもしれないけれど。
(どこにとか何がとかはっきり言えないくらい、あなたに参ってます、蓉子さん)
PR
コメント[0]
TB[]
<<
読書メモ。
|
HOME
|
今度は忘れないうちに
>>
コメント
コメント投稿
NAME:
MAIL:
URL:
COLOR:
Black
LimeGreen
SeaGreen
Teal
FireBrick
Tomato
IndianRed
BurlyWood
SlateGray
DarkSlateBlue
LightPink
DeepPink
DarkOrange
Gold
DimGray
Silver
SUBJECT:
COMMENT:
PASS:
trackback
トラックバックURL
<<
読書メモ。
|
HOME
|
今度は忘れないうちに
>>
忍者ブログ
[PR]