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2010 08,11 02:41 |
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不安定蓉子。一応聖蓉。
自分より図体がでかい奴はあまり好きではない。 例外は勿論いるがあの人やあの子は内面が可愛らしいからいいのだ。まだ許せるという免罪符がむしろ野暮ったく無粋になる人格をもしかしたら憧憬に近い意味で好いているかもしれない。それなのに彼女と来たら。甘えることが得意な甘え下手は、矛盾のコマをくるくると回す。私の上で。抉りこんでは苦しむ私を、遠い場所から見つめている。真顔の裏で軽蔑し、心無い笑顔を突きつけて。脆い自衛を突き崩されることをひどく嫌う聖は、私を削って恐怖から逃れようとするのだ。 抱きしめるのはいつも私。体格で勝る聖にしがみつかれても、のしかかられても、私は囲う側にいた。知ってる癖に、と醒めた声がする。じんじんと響くのは、電化製品の作り出す静寂しか周囲に無いからに違いない。 ふらりと聖がどこかへ行ってしまうのはとっくに茶飯事になっていて、でもそれは図々しくも私の日常にはなかなか納まってくれないのだ。 ざわざわとするのは私の勝手。 さみしい味のする食パンを黙々と齧る。同様に冷めたコーヒーに向かって出した手は目測を誤って持ち手を押した。冷蔵庫の牛乳はもちろんもっと冷やされている。足してしまおうか。混ぜて、しまおうか。白と黒が融解していく様を夢想して、逃避になりきれない思考は霧散すると同時に私を突き刺した。知っている癖に。お揃いだったはずのマグカップ。聖はあっさりと割ってしまった。 休日に詰めた予定はどれも火急ではない。 聖の不在を丸ごと胃の中に流し込み、覆ることはない計画がひとつ終わる。存在感までが大きい奴はもっと嫌いよ、と、誰にも届かない毒を吐いた。 PR |
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